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第4回 子宮頸がん予防のための最適な対応とは?

かゆ子先生の最新情報シリーズ「子宮頸がん予防に関わる最新検査技術とその複雑化する事情」

これまでに子宮頸がんを予防する手段として、3つの方法をご紹介してきました。1つめは予防のためのワクチン、2つ目と3つ目は検査方法についてでした。
ワクチンについてはその後、副作用について色々な議論が起こり、2013年6月14日付けで厚生労働省は、
「同副反応の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではない」と、各自治体に勧告を出しています。

>厚生労働省 予防接種情報「子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン」
>「ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告)」厚生労働省 平成25年6月14日 健発0614第1号

このように、ワクチンも各種検査もそれぞれがメリットとデメリットを持ち合わせているため、それらをどう効果的に組み合わせればいいのかということになります。
これは単にそれぞれの検査の精度だけの問題ではなく、受診者の経済的、精神的な状況も含めて総合的に判断されるべきものです。

HPVワクチン

「子宮頸がんワクチン」と呼ばれることがありますが、正確に言うと「HPV感染予防ワクチン」です。

メリット
「がん化」させる可能性の高いタイプの遺伝子型を持ったHPVの感染防止には非常に効果的です。思春期ではワクチンに対する免疫反応は特によいとされています。

デメリット
効果的なHPV遺伝子のタイプに制約があり、すべてのタイプに効果的というわけではありません。ワクチンを受けると何年間有効かというデータはまだ無く、現在検証研究が進行中です。一度HPVに感染してしまうと同じタイプの遺伝子を持つHPVには効果が発揮されません。したがってセックスデビュー前の若い女性に投与することが効果的とされています。

細胞診断検査

メリット
前がん段階でも発見できる。早い段階で発見できれば早期に治療が行えます。

デメリット
可能性は低いが偽陰性(陽性なのに間違って陰性と判断されること)が起こりえます。

HPV遺伝子検査

メリット
陽性だと将来的に「がん」にまで進行してしまう可能性があることが分かります。ただし感染していても90%以上の方々は2年以内に陰性に戻ります。したがって継続して感染しているかどうかを調べることが重要です。

デメリット
2年以内に90%もの方は陰性に戻るのに、陽性と言われてしまうと次の検査まで精神的な負担を負うことになります。また検査した時点では陰性でも将来的にまた陽性化する可能性もあります。
HPV遺伝子検査は、その検査時点での将来的な「がん」発症のリスクを調べるのに対して、細胞診検査は検査した時点での「がん」へ進行する可能性のある細胞の有無を調べる、という異なった目的の検査方法です。
細胞診検査を行う時にHPV検査も同時に行うことも次第に一般化してきています。
またこれら2通りの検査をどの年齢で、どれだけの期間を置いて受けるべきかについては現在世界中で色々な研究と議論が交わされていますが、まだ統一的な結論は出ていません。国によって検診体制や制度に違いがあるため、我が国でも子宮頸がん検診がどのように行われるべきかについて、厚労省でも検討が行われています。

>厚労省での検討

最後に、繰り返しになりますが、自分のカラダは自分で守るという意識を持つこと。そのためにも正しい知識を持っていることが重要なのです。
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