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がんとがん検査

がんになるまで

人間を含む生物はすべて「細胞」の集まりでできています。1個1個の細胞が集まり、組織を作り、さらには組織が集まって個体(生物)を構成しています。
個々の細胞は常に誕生と死亡を繰り返しています。たとえば人の垢(あか)は死んだ細胞なのです。
この繰り返しが規則正しく行われているのが正常な細胞ですが、何らかの事情によって細胞の誕生・死亡のサイクルが狂ってしまい、死亡しないまま成長・増殖し続けてしまうのが「がん細胞」です。
つまりがんの初期段階は「細胞ががん化」することから始まるため、小さすぎて当然人間の目には見えないし、本人の自覚症状もほとんどありません。
そのため、がんはある程度進行してから発見されるのが一般的ですが、できるだけ早い時期に、できれば目で見て確認できる大きさになる前に、「がん」を見つけ見つけだそうと様々な検査が開発されています。

主ながん検査

現在、一般的に行われているがん検査には以下のようなものがあります。


● X線撮影 : 医療用の放射線を用いた基本的な画像診断で、レントゲンとも呼ばれています。体にX線を当てるだけの「単純撮影」と、造影剤(バリウム)を使う「造影撮影」があります。胃がん、肺がん、乳がんなど、様々ながんの検査に使用いられます。

● 血液検査 : 血液中の“腫瘍マーカー”*の値を測定します
*腫瘍マーカー:体のどこかに腫瘍ができたとき、血液中や排泄物中に増えるたんぱく質や酵素、ホルモンなど。「がん」の可能性を検知しますが、腫瘍マーカーの数値が高いからといって、腫瘍が確実に存在することを示すものではありません。また、それだけで腫瘍が良性か悪性(がん)かの判断もできません。

● 検便(潜血検査) : 既に進行しているがんの可能性を診る検査として消化管から出血の有無、を検査します。

● ファイバースコープなどを用いた内視鏡検査 : 上部消化管(胃、十二指腸など)や下部消化管(大腸など)を内側の表面から直接観察する検査です。小さな病変であれば、治療を行うこともできます。

● CT検査 : X線により体を輪切りにした断面(横断面)の画像を撮影することができる検査です。CTとは、Computed Tomography(コンピュータ断層撮影)の頭文字です。とても鮮明に撮影することができるので、小さな病変も見つけることができます。

● MRI検査 : 磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)の略です。
CT検査と似たような装置で撮影されますが、X線でなく磁気が用いられます。強い磁場をつくる筒のような装置の中に入り、人体の水分の分布状態を画像にして診断します。ガンの治療計画、効果判定、進行・転移・再発などを調べる目的で使われます。

● PET検査 : 「PET」とは「陽電子放射断層撮影」という意味で、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(Positron Emission Tomography)の略です。
通常、がんは、実際に腫瘍(できもの)ができたり、体に変化が起きてから見つかることが多く、がん細胞の成長がある程度進んでからでないと発見しにくい病気でもあります。早期発見のため、特殊な検査薬で「がん細胞に目印をつける」というのがPET検査の特徴です。
PET検査では、検査薬を点滴で人体に投与することで、全身の細胞のうち、がん細胞だけに目印をつけることができます。専用の装置で体を撮影することで、 がん細胞だけを見つけることができます。

これらの検査に加えて、「細胞のがん化」を顕微鏡で見て調べる細胞診検査や組織診などの病理学的検査があります。子宮頸がんの検診(スクリーニング)には、細胞診が用いられています。
子宮頸がんの検診には、なぜ組織診ではなく細胞診が用いられているの?
病理検査には、一つ一つの細胞の形を調べる「細胞診」と細胞のかたまりを調べる「組織診(生検)」があります。どちらも顕微鏡を使って行われます。
組織診では、患部と思われる部分から組織の一部を採取し、染色して顕微鏡で異型(見た目の異常)やがんの有無を調べます。組織の採取法には大きく「鉗子生検」「針生検」「外科生検」などの種類があります。組織診の場合は異常が疑われる場所から組織を採るので、異常があれば発生部位がはっきりしますが、細胞診に比べて比較的痛みや負担を伴います。また組織診の場合、がんのある部分を外れて組織を採ると異常が検知できないので、細胞診の方が大きな範囲の異常を検知しやすいと言えます。細胞診と組織診はそれぞれに長所・短所があります。検査を受ける人の苦痛がなるべく少ない形で、より広い範囲から細胞を集め、がんの疑いがあるのかないのかということを見るために、子宮頸がんの検診には細胞診が用いられているのです。